秋の議会ご報告③ 百条委員会 証人喚問対象者が決定

こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。

秋の議会のご報告のつづき — 下記【3】についてご説明します。

 

【1】6月議会では採決見送りとなった「職員倫理条例案」は、閉会中審査ののち9月議会で採決へ。結果は・・・全議員が反対して否決   → 秋の議会ご報告①

【2】6月に浮上した「小敷谷フェンスブロック工事 公金不正支出」疑惑に関し、市は9月議会直前に調査結果を議会に報告。責任を取るとして「市長・副市長の給与減額案」を提案したが、議会側は「真相はまだ全て明らかになっていない」として否決    秋の議会ご報告②

【3】百条調査「証人喚問者リスト」が決定。市側が調査報告を出したとしても、議会側は百条委員会にて真相究明を続けていく

 

 

 

 

市側が「小敷谷 ブロック塀工事疑惑」調査結果と共に提案した「市長・副市長の減給(案)」は、議会で審査した結果、「議会側の百条委員会が調査中。結果を待たずしての提案自体が時期尚早」といった意見が多く、否決となりました。

委員会での審査終了後は 一般質問日程に入り、私は小敷谷ブロック塀の件について質問。
疑惑の発端となった6月の、「市民からの手紙に基づく」という井上議員質問は「答弁調整していない」として行われたものだったため この時の市答弁と その後の議員への説明に関して 確認・指摘を行いました。

 


小敷谷地内の疑惑について一般質問(動画 40:28〜)

 

◆◆◆質問要旨◆◆◆

<1>市長の監督責任と意思決定経緯について

尾花 発端の質問に対し 畠山市長は、工事経緯を答弁し監督責任を謝罪された。
これが明確な態度であった一方、新井元市長から畠山市長に働きかけがあったという件については
「平成30年2月 小林議員と新井元市長から直接 あまたある話の一つとしてお話がありました
「正直何のことか分からず 場所も分かりませんでしたので お返事はいたしませんでした
「(9月に)小林議員からお話があり 地権者の方と会合でお会いしたり 同じような話を聞きました
「個人の塀を市が全額負担する事はないと認識していたので やはりお返事はしませんでした
「9月18日に新井氏から直接電話をいただき『畠山市長は決断ができないと言っている人がいる』と指摘を受けたので ブロックの事で良い返事をしない事を仰っているのだなと受け止めました

との内容で、「お返事をしなかった」というようなハッキリしない表現であった。
そして その後 7月の協議会で他議員から「(新井氏に)何故『できない』と回答しなかったのか?」と質問があり、これに対しては「『それは難しいですよ』という話はずっとしていました」と答えが変化した。
なぜ答弁が変化したのか?

市長 「お返事はしませんでした」とは当然「よい返事はしませんでした」という意味であり、「それは難しいですよ」と同じく どちらも「できない」という意味で答えた

尾花 本会議場での市長発言は非常に重く、後からの協議会答弁で変化するのではなく 統一した答弁をすべきと思う。
また、市長に対し 新井氏から度重なる要望があったというが、この時点で関連職員に対し「地権者から相談があった場合は市長に報告するか、市側では施工できないと回答せよ」と指示すべきだったのでは

市長 新井氏や小林議員から道路課に相談している話は知り得なかった。西貝塚の(汚職)事件があった直後に、お二人が都市整備部職員に直接働きかける事を予見する事はできなかった

<感想と意見>
市が調査報告書でフォーカスしている範囲をはじめ、これまでの市側説明では「工事発注については現場の独断で意思決定が行われ、それを察知できなかった事に市長の責任がある」という形で語られています。
しかし「監督責任の是非」という構図を前提にすべきではなく「そもそも上部で了承済みであったのではないか?」という点の検証が、今後の百条等ではポイントになります。
いわば「“一般的な”不祥事構造」ならば監督責任の是非が論点になるわけですが(市側はすべてその前提で答弁しています)これだけでは欠けている視点があります。
「現時点での給与減額(案)」や「上司に報告する仕組みを徹底させる職員倫理条例(案)」についての市側説明にも同様の背景があると思います。

なお、他議員からの9月議会一般質問において「市長選直後の昨年2月、畠山市長・小林議員・新井元市長が会食していた事」について指摘が続いています
また、9月一般質問で井上議員から「別件(浅間台エリア舗装工事)に関しても小林氏の関与があったのではないか」と質問がありましたが、この際の情報源として また別の「市民からの手紙」を紹介していました。
この中に「小林氏と(島村 前)市長との関係を重要視し 推し進める中で予算化決定」と記載があったとの事でしたが、市政において「市長と特定の関係を重視する」体質がある事を意味しているならば、仮にそれが継続していた場合、今回の決定においても長の了解を経て事が行われた可能性が浮上します。
誰が白であれ 黒であれ、何よりも再発防止のため、百条委員会での全容解明が待たれるところです。

 

<2>意図的に工事を分割発注し競争入札を回避した件について

尾花 7月全員協議会で私から「今回のように、特定業者に受注させる目的の分割発注は庁内で過去にあったか」質問したところ「実態調査中」と回答したが結果は?

総務部長 現在精査中です

尾花 ブロック塀の件の実態に関しては「5月中からの調査結果を9月議会をめどに発表する」と時期について市の意思表示が明確にあったが、ではこの「その他 分割発注に関する実態」については 具体的にどんな手法で 何に対し調査をかけ いつまでに報告を行う予定か

総務部長 平成26〜30年度までに130万円以下の工事費で支出された約4,000件について、発注した所属に対し 分割発注した理由を提出させ、理由が適切か、未回答案件がないか確認を行う。現在、各回答を整理し 見落としている案件の有無を確認中。今後、案件ごとに発注課にヒアリングを行う予定で、結果報告の時期についてははっきり申し上げることはできない

尾花 12月で議会任期も通常満了するため めどを示して頂きたい。大まかな件数から割り出して試算は不可能か

総務部長 案件ごとに 工事名の類似する他の案件と突合し 分割発注と思われるものを抽出する必要がある事から 同じ案件を何度も見返す場合もあり、報告時期について現時点ではっきり申し上げることはできないが、しっかり精査する

尾花 上尾市の随意契約の公共事業に関する見積書は完璧に整っているのか

総務部長 2社以上からの見積書を徴さなければならないと市契約規則で規定されている。市の随意契約による公共事業の見積書については、複数業者から徴取したものが整っていると認識している。

<感想と意見>
ブロック塀の件に関する全員協議会では、「意図的に7本に分割したのちの 業者決定時の見積もり」に質問が及んだ際 市から「見積書は美創建業(小林議員親族会社)の方が全てお持ちになった」との答弁があり、小林議員からは「それは市側から、美創建業が取りまとめて提出をして下さいとのお願いをされている。業者から見積もりをもらい 了解をもらい 美創建業で金額を入れて提出している。ずっとその慣習で随意契約の見積もりを提出してきた」
との発言がありました。
小林氏と市側は泥仕合の様相となっており、そちらに注意が行きがちですが、議員の関与のみならず、この官主導の談合疑惑の可能性についても精査する必要があります。

 

<3>各関係者 主張の食い違いについて

尾花 今回の問題は、市民からの1通の手紙をきっかけに疑惑が浮上し 市が水面下で担当職員から聞き取りを行う中、井上議員質問で表出となった。問題に関する小林前議長、新井元市長の発言の真偽については百条委員会で明確にすべき
2者との面談議事録・電話による会話メモ・録音等のいわゆる『証文』が必要になると思うが、これらは市側に存在しているのか

都市整備部長 記録等は残っていない

尾花 市の調査報告書では「聞き取り調査」項目の中で、畠山市長と新井氏のやりとりの中身について詳細が記載されていないので、本件の全容を調査で解明していくべき

<感想と意見>
証拠が不足している事は、住民監査請求への監査委員コメントでも明らかになっていますが、これにより「全容解明には関係者の証言の整合性を検証していく方法」が主になっていきそうです。
また、他議員一般質問の場面では、本件当時の現場担当者であった課長が質問に対して「これから百条委員会等からの調査があるかと思うので、答弁は控える」という回答を行ったため、市側も百条の結果を待たなければ結論が出せない構図になったと私は理解しました。

 

いずれにせよ、本件は、行政・議会ともに関連する疑惑であるため、構造を単純化するのではなく、正確な検証には各要素を分解して見ていく必要があります

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

こうして9月議会は閉会となりました。

そして9月20日には、監査委員からの勧告(8/28付)に対し措置(対応)が講じられたと報告がありました。

勧告内容「市長と関係職員は 1ヶ月以内に ブロック塀工事に関する遅延損害金を 上尾市に対して支払うこと」に対する 市側対応は「市長を除く関係職員たちのみが支払い対応した」というものでした。

百条委員会においては「証人喚問対象者」リストが決定

更に、ブロック塀付近の現地調査を実施した結果、新たな事実が判明しました。

「工事費6933,600の中には 付帯して行われた道路付近工事があり、実はこの部分だけは『市費で実施する事で問題ない通常工事』だった」事が判明。
つまり「問題があるとされる工事費(私有地のブロック塀を市費で工事してしまった)」内の 一部分のみが「市で通常通り実施した工事」だったため、市が 新井氏からの「6933,600円 返還」を全額受領してはいけなかった事が明らかとなりました。

実施した工事内容を担当課が把握していなかったのか?

それとも、工事内容すら確認せずに 返還金受領がすぐに決定されたのか?という疑問が出てきます。

 

百条委員会は9月議会閉会後も続きます。
「証人喚問」日程と対象者
はー

◆10月24日 新井弘治 元市長・当時の課長・次長・部長

◆10月25日 新井金作 議員・美創建業社長・小林守利 議員・畠山稔 市長

の順番となっています。